ハワイ島キラウエア火山のプウ・ネオ火口
©︎J.D. Griggs / Wikipedia

35年間噴火し続けた火口

直径約250メートルのこの噴火口は、アメリカ合衆国ハワイ島にあるキラウエア火山の「プウ・オオ火口」。

キラウエア火山の東側斜面に並ぶ火口列の中の一つで、ハワイ島の活発な火山活動は、このプウ・オオ火口を中心に起きています。

ハワイ諸島とプウ・オオ火口の位置(Googleマップ)

 

赤茶けた円形の火口の底に、真っ赤な溶岩が見えていますね。

この火口が連続的に噴火を続け、ハワイ島の南東部一帯を覆う大量の溶岩を噴出してきたのですが、その期間はなんと35年にも及びます。

 

プウ・オオ火口で噴火が始まったのは、1983年のこと。

まるで噴水のように溶岩が噴き上がり、火口周辺にスパター(後述)や噴石を積み上げて、3年後の1986年までに高さ255メートルほどの小山へと成長しました。

この期間の溶岩の噴き上がり(溶岩噴泉と言います)は、高さ数十メートルから数百メートルにも達したそうです。

 

火口からは溶岩流が流れ続け、近くの集落を飲み込みながらゆっくりと島の南東側斜面を覆っていきました。

そして、1990年には溶岩流の先端が海岸に到達。

高温の溶岩が直接海に流れ込むようになり、海水と接触することで水蒸気爆発を起こすようになりました。

 

さらに、2005年の溶岩流出は特に規模が大きく、面積にして117平方キロメートル以上の土地を覆い、大量の溶岩が南東側の海に流れ込みました。

その結果、ハワイ島の面積が1平方キロメートル弱拡大したと言います。

 

継続的なプウ・オオ火口の噴火が終息したのは、噴火が始まってから実に35年目となる、2018年のことでした。

この年の4月末から5月にかけて、溶岩に満たされていたプウ・オオ火口の底が崩壊し、溶岩流出が止まったのです。

 

この時、同じタイミングで別の火口で噴火が始まったので、火山活動の中心が移動したものとみられています。

噴火が始まったのは、プウ・オオ火口から東に24キロメートルほど離れた場所にある、レイラニ・エステーツと呼ばれる割れ目型の火口です。

 

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飛び散る溶岩が積もって小山状の火口になった

冒頭の写真をもう一度見てみましょう。

火口の内側が縞模様になっていて、溶岩が積み重なっている様子がよくわかりますね。

 

噴火の初期には、縞模様の下の方が火口の高さだったわけです。

ですが、噴出する溶岩が火口の周りに集積することで、だんだんと盛り上がって写真のような小山状になりました。

 

プウ・オオ火口の小山は、「スパター丘」と呼ばれます。

スパターとは、火山の爆発力が弱いために、飛び散った溶岩が火口の周りにベタベタとはりついたもの。

 

溶岩が勢いよく空中に飛び散って、飛行中に冷え固まってから降り積もれば「噴石」になるのですが、勢いがないと固まる前に落ちてきて、「べちゃ」っとはりついてしまうわけですね。

そういう溶岩をスパターと言い、スパターは互いにくっついてかたまり状に成長していきます。

 

また、プウ・オオ火口の小山には、スパターだけでなく噴石の層も混じっています。

同じ成分の溶岩が連続的に噴出しても、降り積もり方の違いで縞模様ができていくのですね。

 

ちなみにプウ・オオ火口の「プウ」は、ハワイ語で小山あるいは丘の意味。

「オオ」はハワイ特有の鳥の名称、あるいは「土を掘る棒」の意味だそうです。

穏やかに溶岩を噴出するハワイ式噴火

プウ・オオ火口の一連の噴火活動は、典型的な「ハワイ式噴火」です。

その特徴は、溶岩噴泉や溶岩流が連続的に噴出し、一気に爆発することがない、というもの。

 

「溶岩が噴水のように噴き上がる」と聞くと、なんだか非常に激しく爆発しているように思えるかもしれませんが、そうではないのです。

噴石は遠くまで飛ばず、溶岩流もゆっくりと穏やかに流れる。

 

噴石が遠くまで飛んで危険なのは、ドッカーンと一気に爆発するタイプ。

例えるなら、吹上花火が「ハワイ式噴火」で、打上花火が爆発タイプの噴火です。

 

なぜこのような違いが生じるかというと、溶岩の持つ「粘り気」が、溶岩の成分と温度で変わってくるからです。

含まれる二酸化ケイ素の割合が低く、かつ比較的高温(950〜1200度)だと、溶岩の粘り気は少ない。

一方、溶岩に含まれる二酸化ケイ素の割合が高く、かつ比較的低温(800〜1000度)だと、粘り気が多くなります。

 

プウ・オオ火口の溶岩は、粘り気の少ないタイプ。

冷えた後の岩石名から、「玄武岩質の溶岩」と呼ばれています。

 

プウ・オオ火口の噴火が穏やかなのは、高温でさらさらとした玄武岩質の溶岩だからなのです。

固まりかけの溶岩を間近で見られる場所

固化しながら縄状構造を形作るパホイホイ溶岩(ハワイ・キラウエア火山)
固化しながら縄状構造を形成するパホイホイ溶岩(©︎Rufiyaa / ウィキペディア

 

こちらの写真は、プウ・オオ火口から流れてきた溶岩流を撮影したものです。

まだ赤く輝いていて、固まっていない高温の溶岩であることがわかりますね。

こんなにも近づいて、大丈夫なのでしょうか。

 

溶岩は1000℃以上の高温なので、もちろん危険はあります。

でもこの辺りの溶岩流は、人が徒歩で近づいて、間近で観察できる程度には安全なのです。

 

穏やかなハワイ式噴火ならではのことと言えるでしょう。

特に火口から離れた場所では溶岩流の速度は遅くなるので、一般の観光客でも見学が可能。

そういうわけでハワイ島のキラウエア火山は、噴火中にもかかわらず人気の高い観光地になっています。

 

なお、写真をみると、固化中の溶岩の表面にシワのような縄状構造が見えますね。

このような構造を持つ溶岩は「パホイホイ溶岩」と呼ばれています。

参考文献

場所の情報

もっと知りたい人のためのオススメ本

『海に沈んだ大陸の謎 最新科学が解き明かす激動の地球史』佐野貴司(2017,講談社ブルーバックス)


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