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地球温暖化の原因になるということで、二酸化炭素はなるべく減らした方が良いと思われるかもしれません。

でも、二酸化炭素は私たち地球に生きる生物にとってとても大切なもの。

 

二酸化炭素がもしなくなってしまったら、地球はどんな世界になってしまうのでしょうか。

さっそく見てみましょう。

 

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① 気温が下がって、小さな島も水没しなくなる

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もしもある日突然、二酸化炭素がなくなったら。

まず1番目は「気温が下がって、小さな島も水没しなくなる」です。

 

温暖化の原因とされている二酸化炭素ですので、二酸化炭素がなくなることで、まずは気温が下がると考えられるわけですね。

二酸化炭素というのは、地球では水蒸気の次に影響力の大きい温室効果ガスです。

 

水蒸気や二酸化炭素といった温室効果ガスは、地上から空に向かって放出される赤外線を吸収し、それを再び地上に向けて放出することで地上を温めています。

これが温室効果のしくみ。

 

温室効果ガスである二酸化炭素がいきなりゼロになってしまえば、二酸化炭素による温室効果がなくなるわけですので、その結果地球の平均気温は下がると考えられます。

そして、平均気温が下がれば地球の氷が増える。

 

どう言うことかと言いますと、海から蒸発した水蒸気はやがて雨になって陸地に降るわけですが、その際、南極や北極に近い場所、あるいは非常に高い山の上では、降った雨(と言うか雪)は氷河として陸上に蓄えられるのです。

この氷河が、地球の気温が下がることでもっと大きくなるわけですね。

 

さて、氷河が増えると海の水が氷になって陸上に蓄えられていくわけですから、結果的に海の水は減ります。

少しずつ海水面が低くなっていくわけです。

 

そうすると、海水面の変動で水没するかもしれないと言われている海面スレスレの小さな島々は、水没の心配をしなくてよくなります。

具体的な名前を挙げると、南太平洋のツバル、キリバス、それからインド洋のモルディブなど。

 

あと、陸上の氷河が増える以外に、地球の平均気温が下がると北極の海に浮かぶ氷も増えます。

地球温暖化で北極の氷が溶けるとホッキョクグマが死んでしまう、などと心配されていますので、北極の氷が増えることも嬉しい変化です。

 

海面スレスレの小さな島は水没しなくなり、ホッキョクグマの住む場所も増える。

 

二酸化炭素がなくなると、こう言うメリットがあるかもしれません。

しかし、それ以上にデメリットの方が大きく、私たちの生活は大変困ったことになります。

② スーパーから野菜や果物がなくなる

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もしもある日突然、二酸化炭素がなくなったら。

2番目は、「スーパーから野菜や果物がなくなる」です。

 

二酸化炭素がなくなるということは、植物が光合成できなくなってしまうということ。

その結果、あらゆる植物が育たなくなってしまいます。

 

植物は光合成によってデンプン(炭水化物)を作るわけですが、デンプンというのは植物にとって自分の体を作る材料です。

光合成ができなければ、植物は自分の体を作ることができない。

成長することはもちろん、今の体を維持することもできなくなり、もう死んでいくしかありません。

 

植物にとって、二酸化炭素は体を作る材料そのものと言っていいでしょう。

光合成という化学反応は、太陽のエネルギーを使って、水と二酸化炭素からデンプンと酸素を作る反応です。

デンプンという形で、植物は二酸化炭素が持っている炭素を体内に取り込み、自分の体を作るのです。

 

そして、植物が育たなくなることで、まずスーパーマーケットに大きな変化が起こります。

野菜や果物は全部売り場からなくなってしまいますね。

白菜、大根、トマト、きゅうり。

りんご、みかん、ぶどう、などなど。

 

それから、お米や小麦も植物ですので、ご飯類、パン、うどん、ラーメンなどもなくなります。

ジャガイモやトウモロコシもなくなるため、これらを原料にしているお菓子類もなくなる。

砂糖も、砂糖大根やサトウキビという植物から採れるものなので、甘いものもなくなります。

 

このようにスーパーの売り場がガラッと変わってしまい、身近な食べ物がどんどん姿を消していくことになります。

③ 酸素が減って、だんだん息苦しくなる

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もしもある日突然、二酸化炭素がなくなったら。

3番目は、「酸素が減って、だんだん息苦しくなる」です。

 

植物が光合成できなくなれば、光合成によって植物が作り出していた酸素も作られなくなります。

そうするとだんだん酸素がなくなって来て、息苦しくなるわけですね。

人間も、他の動物たちも。

 

元々の地球の大気というのは、おもに水蒸気、二酸化炭素、窒素からできていました。

酸素はなかったのです。

 

そんな地球で、植物プランクトンという光合成をする小さな生物が生まれて、これによって酸素がだんだんと増えてきたわけです。

最初は海の中に酸素が増え、その後で大気中にも増えていきました。

こうして私たち地球上の動物は酸素を利用できるようになった。

 

ですから、簡単に言えば、植物が光合成できなくなると酸素がなかった時代に逆戻りしてしまうわけです。

地球に残った酸素は減る一方で、それを使い切ってしまえば、そこはもう酸素のない世界。

私たちは生きていくことができません。

④ 動物も魚もどんどん死んでしまう

Photo: Pixabay

 

もしもある日突然、二酸化炭素がなくなったら。

4番目は、「動物も魚もどんどん死んでしまう」です。

 

先ほどは光合成ができなくなって酸素がなくなるという話でしたが、動物が死ぬのは酸素がなくなるからとは限りません。

酸素がなくなるよりも先に、食糧不足で死ぬかもしれない。

植物が育たなくなれば、深刻な食糧不足になるからです。

 

生物どうしの食う・食われるの関係を食物連鎖、あるいは食物網と呼びますが、その土台となっているのが植物です。

植物を食べる動物がいて、その動物を食べる別の動物がいる。

このようにして全ての生物が生きているわけですので、地球上に住んでいるすべての生物は、植物のおかげで生きていられるわけです。

 

これは海の中でも同じ。

植物プランクトンを食べる動物プランクトンがいて、それらを食べる小魚やカニなどがいて、さらにその小魚やカニなどを食べる大きな魚がいる。

だから植物プランクトンが光合成できずに死んでしまうと、海の生物も大部分が死んでしまいます。

 

こういうわけですから、二酸化炭素がなくなると、私たち動物は食糧不足と酸素不足のダブルパンチで苦しむことになります。

食べること、息をすること。

この2つがなければあらゆる動物が生きられませんが、その両方がほぼ完全に奪われてしまう。

 

だから、動物も魚もどんどん死んでしまうのです。

 

そのほか、気温低下の影響もあります。

二酸化炭素による温室効果がなくなると地球の平均気温が下がるため、気温低下が原因で死ぬ動物や魚も出てくることでしょう。

⑤ 地球は細菌の星になる

Photo: Wikipedia, Public Domain

 

もしもある日突然、二酸化炭素がなくなったら。

5番目は、「地球は細菌の星になる」です。

細菌、つまりバクテリアのことですね。

 

二酸化炭素がなくなれば植物が光合成できなくなるわけですので、先ほど出てきたように、植物を土台とした食物連鎖・食物網は完全に崩壊してしまいます。

でも、これによって全ての生物が死んでしまうかというと、実はそうではありません。

 

地球上には、光合成とは別の仕組みを使って生きている生物がいるのです。

彼らは植物を食べる動物とも異なり、全くの独立した仕組みで生きています。

 

その「彼ら」とは、化学合成細菌。

 

化学合成細菌が住んでいる場所で最も有名なのが、海底熱水噴出孔と呼ばれるところです。

海底の深い場所で、マグマによって加熱された高温のお湯が噴き出している穴のことを海底熱水噴出孔と言うのですが、太陽の光が全く届かないにもかかわらず、その周りにはエビや貝など多くの生物が住んでいます。

この辺りの食物連鎖の土台となっているのが、化学合成細菌。

 

化学合成とは、海底から噴き出す硫化水素や水素などの化学反応のエネルギーを利用して、同じく海底から噴き出す二酸化炭素を使って炭水化物を作る反応のことです。

「二酸化炭素がなくなったら」と言う話で新たに二酸化炭素が登場するのも少し変な気がしますが、大気中の二酸化炭素や海水に溶け込んでいる二酸化炭素が全てなくなっても、地球の内部からは火山ガスとして新たに二酸化炭素が生み出されるのです。

だから、化学合成細菌やそれを土台に食物連鎖を作っている一部の生物は、二酸化炭素がなくなった後も続けて生きられるでしょう。

 

ただし、海底熱水噴出孔の周りに住む生物の中には、深海に溶け込んでいる酸素を使って生きているものもいます。

深海の酸素は、元はと言えば光合成をする植物プランクトンや陸上植物によって作られた酸素が巡り巡って深海まで運ばれてきたものですので、光合成ができなくなればいずれ完全になくなってしまいます。

そうなれば海底熱水噴出孔の周りの食物連鎖も崩れ、おそらくほとんどが死んでしまうでしょう。

 

それ以後は、いよいよ化学合成細菌だけの世界。

この化学合成細菌、実は海底熱水噴出孔の周りだけでなく、海底下の岩盤や大陸の岩盤の奥深くにも住んでいることがわかっています。

 

地球はそういった細菌だけが住む星となり、光合成を行う植物プランクトンが生まれる前の、原子的な地球の姿になってしまうでしょう。

そこからまた新たに、生物進化の物語がスタートするのかもしれません。

ここまでのまとめ

「もしもある日突然、二酸化炭素がなくなったら」と言うことで、ここまで下記の5つの項目について考えてきました。

  1. 気温が下がって、小さな島も水没しなくなる
  2. スーパーから野菜や果物がなくなる
  3. 酸素が減って、だんだん息苦しくなる
  4. 動物も魚もどんどん死んでしまう
  5. 地球は細菌の星になる

その結果、こんな暮らしになるかも

二酸化炭素がなくなるとこのようなことが起こるわけですが、もし仮に二酸化炭素がなくなった後も人類が生き延びていたとしたら、私たちの暮らしはどんなものになるのでしょうか。

その辺りのことも、想像力をたくましくして予想してみたいと思います。

枯れ木を燃やしまくる

まずは手っ取り早く二酸化炭素を回復させるために、枯れ木を燃やしまくる。

 

二酸化炭素がないと、やはりどうにもならないわけです。

光合成できない。

植物がなくなる。

酸素もなくなる。

 

これではとても生きていくことはできませんので、残された人類は何とか二酸化炭素を作り出して、植物の光合成をできる限り早く回復させるしかありません。

 

地球というのはよくできていて、もちろん放っておいても少しずつは回復すると思います。

火山性の二酸化炭素が地下から噴き出しているからですね。

 

でも、それを待っていたら植物は全滅し、二酸化炭素が増えてきた頃にはとっくに人類は滅んでいることでしょう。

だから、枯れ木を燃やして二酸化炭素を生産しまくるしかないのです。

 

植物も動物も燃やせば二酸化炭素を出しますので、枯れ木のほか、木材、紙、生ゴミなど何でも良いです。

ひたすら燃やしまくる。

石炭や石油でも良いですね。

 

そして、少しずつでも二酸化炭素が回復してくれば、植物は弱いながらも光合成ができるようになります。

こうしてある程度の植物が生き残れば、そこからまた食糧が得られるようになり、人類は生き延びることができます。

火山を人工的に噴火させる

枯れ木を燃やす「応急処置」が済んで一息ついたら、今度はさらに二酸化炭素を大量に生み出す方法に取り組むこととなります。

その方法とは、火山を人工的に噴火させること。

 

二酸化炭素をたくさん生み出す方法としては、やはり火山ガスを大量に発生させることが効果的です。

そこで、ちょっと危険ですが、わざと火山を爆発させる。

火口には近づけないので、遠くからミサイルか何かで火口付近の岩盤を破壊することになると思います。

石灰岩に塩酸をかけまくる

そのほか二酸化炭素を生み出す方法としては、「石灰岩に塩酸をかけまくる」と言うのもあります。

 

石灰岩と言うのは炭酸カルシウムでできた白っぽい岩石。

塩酸をかけると溶けて二酸化炭素が発生しますので、大量にやればかなり二酸化炭素の回復に役立つのです。

石灰岩は日本や世界の陸地にたくさんありますので、材料が不足することはありません。

 

このように、なくなった二酸化炭素をあの手この手で回復させ、人類は生き延びていくことになるでしょう。

 

 

以上、今回は「もしもある日突然、二酸化炭素がなくなったら」について考えてみました。

温暖化の原因と言われている二酸化炭素も、生物が生きていく上でとても大切な役割を果たしているのですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

参考文献

もっと知りたい人のためのオススメ本

田近英一『大気の進化46億年 O2とCO2』(技術評論社,2011)


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